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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2021/10/06 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

カミサマはそういない

著者:深緑 野分

出版社:集英社

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カミサマはそういない

楽しみにしていた新刊。
うれしくて転がりまくってしまう。
カミサマっているなあ。

悪夢に追われて飛び起きる真夜中。
心臓が痛いくらい打っている。部屋中の明かりをつけてまわる。
部屋の隅々まで光が当たるように。
ここまでついてきてはいないか。
朝が来ても安心は得られないことをしっている。
あれは、夢じゃない。わたしの奥底にいつもいるものだから。

7編の短編集です。
帯に書かれている文言だけでぞくぞくする。
『圧倒的絶望』『人間の本性をあぶり出す』『ダークな短編集』

決まった周期で、一生分の罪や恥や後悔に一気に襲われる日があります。年を追うごとに当然重みが増し、周期も短くなってきているような。
次こそは、もう耐えられないかもしれない。
そんな、すこしの光が差し込むのにも体が耐えられないと思ったとき。
この小説の闇が、恐ろしさが、望みのなさが、内臓をぐつぐつと焼くような苦しみによく馴染む。
むしろほっとしたりもする。このままでも仕方がない、きっとここが一番底だ。ここより先はないかもしれない。
光が当たったりしたら、わたしのなかの真っ暗の奥底と目が合ってしまうかもしれない。
同じような闇で、なんだかわからないようにしてほしい。

全部大好きです。

『伊藤が消えた』
・瞬間だけを見つめていたら、誰にでも起こってしまうかもしれない。自分の指先一本にまで見張っ
ていかなければ。

『潮風吹いて、ゴンドラ揺れる』
・正直、いつまでも、ゴンドラが揺れ続けますようにと思った。

『朔日晦日』
・こわい。なるべく目が合わないように視線をそらしています。

『見張り塔』
・自分に問うた。わたしは?わたしも?

『ストーカーVS盗撮魔』
・覗いて、追いかけるの…1%から100%のグラデーションはあれどやらない人はいない。

『饑奇譚』
・なるべくきれいな心、それってあるほうが得なのか。得とか言ってる時点でもうだめなのか。

『新しい音楽、海賊ラジオ』
・この物語は、読み終えるのに3日かかってしまった。波の音に弱いのです。気持ちよかった。

全部大好きです。


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