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Slow Books ~コトバのあや~

Slow Books ~コトバのあや~

高垣亜矢がおすすめする本です。


日本人が奏でる『コトバの音符』。言葉が織りなす模様“言葉の文(あや)”日本人が使う巧みなコトバ、本の中に見え隠れする「コトバのあや」
本をじっくりと読んでいると、その中に光る作者の巧みなテクニック。高垣亜矢さんの視点で捉えた“コトバのあや”を紹介します。

2009/08/15 更新

Slow Books ~コトバのあや~


高垣亜矢がおすすめする本です。


フィクション

ともだちは海のにおい

著者:工藤直子【詩】・長新太【絵】

出版社:理論社

定価:1,575円

ともだちは海のにおい

 夜の海で、お茶と体操が好きないるかと、ビールと本が好きなくじらが出会いました。好きなものも、体の大きさも、まったく正反対なふたり。けれどふたりは「違い」を素直に認め、尊重しあい、友情を深めていきます。
 
 工藤直子さんの文章と長新太さんの絵は、シンプルだけどユーモラスでナンセンス。物語には詩や、いるかとくじらが書いた手紙やメモも挿入されます。ページをめくると次はなにがあるのかな、とわくわく。言葉あそびを楽しむことで、自分も海の住人になったような気分になるという、とびきりのマジックにかかってしまうのです。
 
 いるかとくじらはやがて、誰かを大切に思う気持ちには、友情と名のつくもののほかにもまた違うものがあるのだと気づきます。子どもたちもいつかこの気持ちが何なのか、そんな疑問を抱くことでしょう。うまく説明できず困ったら、この本をぜひ。大人も納得のこたえがそこにあります。
 大人も子どももひとりでも多くこの本が届きますように。ずっとそばに置いてもらえますように。今のこの世に足りないものが、たくさんつまっているのですから。

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