おすすめの本RECOMMEND

Slow Books ~コトバのあや~
高垣亜矢がおすすめする本です。
日本人が奏でる『コトバの音符』。言葉が織りなす模様“言葉の文(あや)”日本人が使う巧みなコトバ、本の中に見え隠れする「コトバのあや」
本をじっくりと読んでいると、その中に光る作者の巧みなテクニック。高垣亜矢さんの視点で捉えた“コトバのあや”を紹介します。
2010/05/03 更新
Slow Books ~コトバのあや~
高垣亜矢がおすすめする本です。
フィクション
真昼なのに昏い部屋
著者:江國香織
出版社:講談社
定価:1,470円

“会社社長の浩さん”、と、“「自分がきちんとしていると思えることが好き」な美弥子さん”は夫婦。そんな美弥子さんは、大学の先生ジョーンズさんと恋におち―。あらすじ説明のために登場人物に“さん付け”しているのではありません。作中、ずっとこの調子なのです。第三者の視点で、江國ワールドのさまざまな恋愛の局面を描くとどうなるのかを提示しているかのよう。なんと恋愛は滑稽なものなのか、と思わずにはいられません。表紙はゴヤの版画。大人の童話みたい。ちょっと怖めの、ね。